
「勉強を教えること」と「勉強できる子に育てること」は、同じではありません。
子どもにどこまで教え、どこから任せるのか?
私が大切にする指導の考え方について
- 勉強を教えるだけでは、子どもは変わらない
- 先生が全部やってあげる。それは本当に親切なのでしょうか?
- 子どもが自分で考えるために、先生が「決めない」ことも大切
- 「覚えてきなさい」とは言う。でも、覚え方までは決めない
- 昔の私は、今よりずっと「面倒見のいい先生」でした
- 私が考える「本当の学力」は、暗記だけではありません
- 整理すると、次のようになります
- 成績が上がらない原因は、勉強の「もっと手前」にあるかもしれません
- 問題文についても同じです
- 宿題をたくさん出すことが、よい指導とは限らない
- 小学5年生から通っている、ある生徒の変化
- 塾は、いつまでも頼り続ける場所でなくてもいい
- お子さんに合った学習塾を探している保護者の方へ
- 一人ひとりの「できる」を見つけ、その子に合った成長を支えたい
勉強を教えるだけでは、子どもは変わらない

「塾には通わせているのに、なかなか成績が上がらない」
「家では勉強しているようだけど、本当に理解しているのかわからない」
「言われればやるけれど、自分から勉強しようとしない」
そんな悩みを抱えている保護者の方は、少なくないのではないでしょうか。
お子さんの将来を考えれば、少しでも成績を上げてあげたい。
勉強が苦手なら、わかるまで丁寧に教えてくれる塾を選びたい。
そう思われるのは、ごく自然なことです。
ただ、私は長年、子どもたちを指導する中で、一つのことを考えるようになりました。
大人が一生懸命教えることと、子ども自身に学力が身につくことは、必ずしも同じではない。
今回は、私(塾長 秋間)が普段の指導で大切にしている「本当の学力」と、その力を育てるために、どこまで教え、どこから子ども自身に任せるのか?についてお話ししたいと思います。
先生が全部やってあげる。それは本当に親切なのでしょうか?

最近、中学1年生の生徒から、こんな相談を受けました。
「先生、テスト前の勉強計画を一緒に立ててほしいです」
何から勉強すればいいのか。
どの教科に、どのくらい時間をかければいいのか。
自分ではうまく決められなかったようです。
もちろん、私が全部計画を立ててあげることもできます。
「月曜日は数学を1時間、火曜日は英語を1時間。水曜日は理科をやって……」
そんなふうに、細かく指示することもできるでしょう。
でも、私はそうしませんでした。
代わりに用意したのは、勉強の予定を書き込める計画表です。
「この表に、自分で何を勉強するか書いてみよう」
そう伝えて、まず本人に考えてもらいました。
どの教科を勉強するのかだけではありません。
どの教材を使って、何をするのかまで、自分で決めてもらいます。
もちろん、書いてきた計画は私が確認します。
例えば、ある教科に時間をかけすぎていたら、
「もう少し、ほかの教科にも時間を使ったほうがいいんじゃない?」
と声をかけます。
暗記ばかりの計画になっていたら、
「覚えるだけじゃなくて、実際に問題を解いて確認する時間も必要じゃないかな?」
とアドバイスします。
でも、基本的には、本人が考えた計画を尊重します。
なぜなら、自分で考えて決める経験そのものが、勉強だからです。
子どもが自分で考えるために、先生が「決めない」ことも大切

もし私がすべて計画を作ってしまったら、その子は先生の指示どおりに勉強するだけになります。
それで点数が上がらなかったとき、
「先生の言ったとおりにやったのに、点数が上がらなかった」
となってしまうかもしれません。
でも、自分で考えて計画を立てたなら、結果を振り返るときにも、
「この教科に時間を使いすぎたかな」
「覚えるだけで、問題を解く練習が足りなかったな」
と、自分の勉強の仕方を見直すきっかけになります。
もちろん、中学1年生に、いきなり何もかも自分で考えなさいと言っても難しいでしょう。
だから、最初のきっかけとなる計画表は私が用意します。
考えるための土台は大人が用意する。
でも、考えることまで奪わない。
私は、そのバランスを大切にしています。
「覚えてきなさい」とは言う。でも、覚え方までは決めない

中学受験の指導でも、同じようなことをしています。
授業の前には小テストを行います。
次の授業までに覚えてくる範囲は、こちらで指定します。
ただし、その内容をどうやって覚えるかは、基本的に本人に任せています。
何度も書いて覚える子もいるでしょう。
声に出して覚える子もいるかもしれません。
問題を解きながら覚えたほうが身につく子もいると思います。
もちろん、困っていればアドバイスします。
でも、自分に合う勉強の仕方を、本人にも考えてほしいと私は考えています。
というのも、子どもたちは、自分が何を覚えていないのか、どこが苦手なのかを、ある程度わかっていることが多いからです。
ただ、それをどうやって解決すればいいのかがわからない。
ここに、勉強がうまく進まない原因の一つがあると感じています。
大切なのは、苦手なところを先生が見つけてあげることだけではありません。
自分でも課題に気づき、それを解決するために行動できるようになることです。
ただし、すべての子どもに同じように任せるわけではありません。
何から始めればいいのかわからない子には、もっと具体的な指示が必要です。
またこのとき、ご家庭で保護者の方に一緒に取り組んでいただくことが、助けになる場合もあります。
その子が今、どこまでできるのか。
何を手伝えば、一歩前に進めるのか。
そして、どこから先は自分で考えてもらうのか。
一人ひとりを見ながら判断していくことが、私(塾講師)の仕事だと思っています。
昔の私は、今よりずっと「面倒見のいい先生」でした

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実は、私も若い頃から、今のような指導をしていたわけではありません。
以前、大手の学習塾に勤めていた頃は、今よりずっと手をかけていました。
テスト前になると、土曜日も日曜日も補習を行いました。
学校ごとの授業の進み具合を調べ、どんな問題が出そうかを予想し、徹底的に対策していました。
20年以上前のことですが、夜遅くまで教室に残り、生徒から電話で質問が来れば、その場で答えることもありました。
当時は、それが当たり前だと思っていました。
そして、そこまで手をかけると、生徒たちも喜んでくれたんです。
「先生、こんなところまでやってくれるんですか?」
「先生がそこまでやってくれるなら、自分も頑張らなきゃ」
そんな気持ちになってくれることもありました。
でも、長く指導を続ける中で、少しずつ疑問を持つようになりました。
学校のテストに出そうな問題を徹底的に練習すれば、点数が上がることはあります。
しかし、その子が初めて見る問題にも対応できるようになったかというと、必ずしもそうではなかったんですね。
先生が用意した問題は解ける。
でも、自分で何を勉強すればいいのかはわからない。
定期テストでは点数が取れる。
でも、模擬試験では思うように得点できない。
そういうこともあったんです。
もちろん、定期テストの点数は大切です。
内申点や進路にも関わります。
ただ、テストの点数を取らせることと、その子が自分の力で問題を解けるようになることは、分けて考える必要があると思うようになりました。
だから今は、以前のように何でも先回りして準備する指導から、少しずつ変えてきています。
私が考える「本当の学力」は、暗記だけではありません

では、私が子どもたちに身につけてほしい「本当の学力」とは何でしょうか。
まず、知識を身につけることは必要です。
漢字を覚える。
英単語を覚える。
計算の仕方を理解する。
そうした基礎がなければ、その先の勉強には進めません。
でも、知識を覚えるだけでは(とりわけ現代の学習においては)十分ではありません。
今の学校のテストでも、知識や理解を問う問題は解けるのに、思考力や判断力を問う問題になると、急に点数が取れなくなる子がいます。
覚えた知識を使って、自分で考えなければならないからです。
そして、もう一つ大切なのが、自分の考えを言葉にして伝える力です。
例えば、大学の総合型選抜などでは、
「なぜ、この大学に入りたいのですか?」
「ここで何を学びたいのですか?」
と聞かれることがあります。
そのとき、誰かが考えた答えを覚えて話すだけでは、自分の思いを十分に伝えられません。
自分が何をしたいのか。
なぜ、それをしたいのか。
そのために、どんなことを学びたいのか。
自分で考え、自分の言葉で説明する必要があります。
私は、こうした力も含めて「本当の学力」だと考えています。
整理すると、次のようになります

- 知識・理解―必要なことを覚え、正しく理解する力
- 思考・判断―身につけた知識を使って、自分で考え、判断する力
- 自己表現―自分の考えや意思を、相手に伝える力
そして、これらを支えるのが、自分から学ぼうとする姿勢です。
ただ、思考力や判断力は、短期間で急に伸びるものではありません。
日々の学習の中で、自分で考える経験を積み重ねる必要があります。
半年、1年、あるいはもっと長い時間がかかることもあります。
保護者の方にも、そのことはお伝えするようにしています。
なぜなら、目先の点数だけでは見えない成長があるからです。
成績が上がらない原因は、勉強の「もっと手前」にあるかもしれません

イメージ図
私が今、授業で特に気をつけていることがあります。
それは、子どもたちが人の話をきちんと聞けているか、問題文を正確に読めているかということです。
授業中、こちらを向いて説明を聞いている生徒がいます。
でも、説明が終わって、
「今、先生が言ったことを、もう一回言ってみて」
と尋ねると、答えられないことがあるんです。
ついさっき話したばかりなのに、内容が出てこない。
そんなとき私は、そもそも話が頭に入っていなかったのではないかと考えます。
もちろん、聞いていても理解できなかったり、言葉にするのが難しかったりする場合もあります。
だから、答えられないことだけで決めつけるのではなく、何が起きているのかを確かめることが必要です。
それでも、聞いているつもりで聞けていないことに、自分で気づくのは大切です。
問題文についても同じです

書いていない言葉を勝手に付け加えたり、助詞を読み飛ばしたり、別の言葉に置き換えて読んだりする子がいます。
例えば、問題文の条件を一つ読み落とせば、計算の仕方を知っていても、正しい答えにはたどり着けません。
そうした様子を見るたびに、私は考えます。
もっと問題を解かせる前に、まず文章を正しく読む練習が必要なのではないか。
もっと長い時間勉強させる前に、まず人の話を聞いて理解することが必要なのではないか。
保護者の方が「勉強しているのに成績が上がらない」と感じているとき、原因が勉強時間や問題演習の量だけにあるとは限りません。
学ぶための土台に、まだ育てるべき部分があるのかもしれないんです。
だから私は、授業中のちょっとしたやり取りを大切にしています。
「今の説明、もう一回言ってみようか」
「この問題文、何を聞かれている?」
「ここには、何て書いてある?」
特別な教材を使うわけではありません。
でも、こうした確認を繰り返すことが、理解する力を育てる第一歩になると考えています。
宿題をたくさん出すことが、よい指導とは限らない

以前に比べて、私は宿題もあまり出さなくなりました。
宿題を出しても、授業の直前に答えを埋めるだけになってしまうことがあるからです。
もちろん、宿題そのものが悪いわけではありません。
ただ、提出することだけが目的になってしまうと、勉強の意味が薄れてしまいます。
それよりも大切にしているのが、間違えた問題の解き直しや復習です。
前回できなかった問題を、次は自分で解けるようにする。
覚えていなかったことを、次の授業までに覚えてくる。
そうしたことを、少しずつ当たり前にしていきたいと考えています。
たくさんの問題を解いたかどうかよりも、昨日できなかったことが、今日できるようになっているか。
私は、そこを見たいと思っています。
小学5年生から通っている、ある生徒の変化

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子どもたちの成長は、いつもすぐに目に見えるわけではありません。
例えば、小学5年生から通っている、現在高校1年生の生徒がいます。
中学生の頃は、カバンの中が整理できず、プリントの管理も苦手でした。
自分の状況を説明することも、あまり得意ではありませんでした。
ところが、今はずいぶん変わりました。
定期テストの範囲が発表されると、自分からLINEで写真を送ってくるようになりました。
数学では、クラスで1位を取ったこともあります。
この生徒には、現在、週1回のオンラインコーチングも活用しています。
私とは別の立場のコーチが、目標や学習状況を確認する。
私はあまりプレッシャーをかけすぎず、別の大人が学習管理を支える。
そうした役割分担が、本人によい影響を与えていると感じています。
この子の成長は、もちろん私一人の力によるものではありません。
本人の努力もありますし、周囲の支えもあります。
ただ、長い時間をかけて子どもを見ていると、こうした変化に出会うことがあります。
以前は自分でできなかったことが、少しずつできるようになる。
誰かに言われる前に、自分から動けるようになる。
今の私には、そういう変化がとてもうれしいんです。
塾は、いつまでも頼り続ける場所でなくてもいい

学習塾を探している保護者の方は、まず成績を上げてほしいと考えていらっしゃると思います。
私も、塾として成績を上げることは大切な役割だと考えています。
そのために、必要な知識は教えますし、わからない問題には向き合います。
必要であれば、学習計画についてもアドバイスします。
ただ、私が本当に目指しているのは、その先です。
いつまでも先生に「次は何をすればいいですか?」と聞かなければ勉強できないのではなく、自分で考えられるようになること。
わからないことに出会ったとき、すぐに答えを求めるのではなく、まず自分で考えてみること。
そして、自分が何をしたいのかを、自分の言葉で伝えられるようになること。
子どもが成長していくうえで、大人の支えは必要です。
でも、支え続けることだけが、よい教育ではないと思っています。
自転車の練習と同じかもしれません。
最初は、補助輪が必要です。
でも、いつかは補助輪を外し、自分の力で走れるようになってほしい。
そのためには、手を貸すことも、少し離れて見守ることも必要です。
子どもの代わりに走るのではなく、子ども自身が走れるようになるまで支える。
それが、私の考える塾の役割です。
お子さんに合った学習塾を探している保護者の方へ
塾を選ぶとき、授業時間や料金、合格実績はもちろん大切です。
でも、もう一つ、見ていただきたいことがあります。
それは、その塾が、お子さんにどんな力を身につけてほしいと考えているかということです。
たくさんの宿題を出す塾が合う子もいるでしょう。
細かく学習を管理してもらうことで、力を発揮できる子もいると思います。
一方で、先生に言われたことはできるけれど、自分で勉強を進めることが苦手な子もいます。
わからない問題があると、すぐに手が止まってしまう子もいるでしょう。
そうした子に必要なのは、単に勉強時間を増やすことではないかもしれません。
自分の課題に気づくこと。
何をすればよいかを考えること。
わからないことを、言葉にして伝えること。
そして、小さな成功を積み重ねながら、自分にもできるという感覚を育てること。
私は、そうした成長を大切にしたいと考えています。
一人ひとりの「できる」を見つけ、その子に合った成長を支えたい
もちろん、どんな子にも同じ方法が合うわけではありません。
だからこそ私は、最初にお子さんの様子をしっかりと知ることからはじめたいと考えています。
何が得意で、何が苦手なのか。
勉強するとき、どんなところで困っているのか。
今はどこまで自分でできて、どこに大人の支えが必要なのか。
そうしたことを見ながら、その子に合った関わり方を考えていきたいと思っています。
そして何より、私自身、例えば数学が苦手な子が問題を理解して、
「あれ、なんか面白い」
と感じてくれる瞬間が好きなんですね。
勉強ができるようになる喜び。
自分で考えて答えにたどり着く喜び。
その経験が、次の一歩につながっていく。
そんな姿を、これからも見ていきたいと思っています。
もし今「うちの子には、どんな塾が合うんだろう」と迷っていらっしゃるなら、まずはお子さんの今の様子を聞かせてもらえないでしょうか。
点数だけでは見えてこない、その子の可能性を一緒に考えたいと思います。
そのような想いで、お子さんが自分の力で学べるようになることを大切にしながら、私は日々指導を続けています。

